麻酔科
スタッフ紹介
所属学会・資格
日本麻酔科学会指導医・専門医厚生労働省麻酔科標榜医
主に呼吸器外科の麻酔を担当しております紀(きの)と申します。
本来なら麻酔について紹介するべきかも知れませんが、麻酔と手術は不可分の関係であることから、「様々な病院を渡り歩いた麻酔科医の目」から見た、当院呼吸器外科の特色を紹介させて頂きます。
1職人意識が高く、「研修医リスク」皆無
当院は研修医が少なく、それを物足りなく感じる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、専門家(※1)による無駄のない手術は、麻酔科医としてこれほど有難いものはございません。手術中に指導医が若手を叱りつけるような場面も皆無で、手術は落ち着いた状態で進行します。前期研修医が手術に参加することもありますが、主要なところは専門家が行なっておりますので御安心下さい。また、当院は診療科が少ない分、手術室看護スタッフ全員が当該診療科の手術業務に非常に習熟しております。病院の規模は大きくありませんが、職人意識の高さでは引けを取らないと自負しております。
2自由に使える手術室、手術決定までが迅速
当院は外科系診療科が呼吸器外科と小児外科と産科しかありません。そして、手術室は3室あります(※2)。そのため、手術室の使用をめぐって競合することがほとんどありません。手術室を自由に使えるため、手術決定から実施までの期間が短いことも大きな特徴です。また、手術室を比較的自由に使えることに加え、そのメリットがデメリットを上回ると判断していることから、胸膜生検、膿胸郭清術など胸腔内に侵襲が及ぶ検査、手術も基本的に全身麻酔下で行っております。
全身麻酔を恐れている方もいらっしゃるかも知れませんが、全身麻酔法の進歩の歴史を鑑みますと、現代に全身麻酔の恩恵を受けない理由はないと私自身は考えております。これらの検査、手術を全身麻酔下で希望される方は御一考下さい。
3早期離床、背中からの注射は「不要」
呼吸器外科手術の低侵襲化は目を見張るものがあります。当院でも手術当日からの食事再開を目標にしております。その際、「痛み」や「吐き気」がないことが重要ですが、当院では数度の改良を経て、手術中に術野から痛み止めの管を入れる方法を確立しました(※3~6)。呼吸器外科手術に際して背中からの「硬膜外注射」を行なっている施設は多いと思いますが、当院の方法では
- 寝ている間に終わる
- 直視下で行なうため安全性が高い
- 全身への影響が軽微で、低血圧や嘔気などの副作用が少ない
「痛いのは嫌だけど、背中から注射されるのはもっと嫌だ」という方は、当院との親和性がより高いと思います。なお、硬膜外麻酔と比較して安価な点、短時間で済む点も見逃せません(※7)。
まだまだお伝えしきれないところが御座いますが、大体はお分かり頂けたでしょうか。
麻酔は、麻酔科医として「普通のことを普通にやる」ことを心がけております。
以上です。
(※1)当院は京都大学呼吸器外科関連施設であり、術者は京都大学およびその関連施設で呼吸器外科診療の研鑽を積んだ方々です。
(※2)手術室改築工事も完了しました。とても綺麗です。
(※3)Teruya Komatsu, Terumasa Sowa, Atsunori Kino, Takuji Fujinaga. The importance of pleural integrity for effective and safe thoracic paravertebral block: a retrospective comparative study on postoperative pain control by paravertebral block. Interact Cardiovasc Thorac Surg, 20:296-9, 2015.
(※4)Teruya Komatsu, Atsunori Kino, Mari Inoue, Terumasa Sowa, Koji Takahashi,Takuji Fujinaga. Paravertebral block for video-assisted thoracoscopic surgery: analgesic effectiveness and role in fast-track surgery. International Journal of Surgery.12:936-9, 2014
(※5)小松輝也、村田祥武、藤永卓司、紀敦成: 傍脊柱神経ブロック(Paravertebral block)による術後疼痛コントロール,818 例についての検討. 第36回日本呼吸器外科学会総会 2019.5.16.(大阪)
(※6)小松輝也, 高橋耕治, 池田政樹, 藤永卓司, 紀敦成:傍脊柱神経ブロック(Paravertebral block)による術後疼痛コントロール,400 例についての検討. 第32回日本呼吸器外科学会総会. 2015.5.14. 香川
(※7)「硬膜外麻酔」も適切に行なえば優れたものと考えております。しかし、当院方式の方が、利点が大きいと考えているため、第一選択として当院方式を行なっております。